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CB750の真実:不人気と呼ばれる理由と本当の魅力とは

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ホンダCB750は、その卓越した信頼性と安定した走行性能から、多くのライダーに長年にわたって支持されてきた不朽の名車です。

空冷エンジンの独特なフィーリングや、扱いやすい車体バランス、そして堅牢な構造は、まさに「バイクの原点」とも言える完成度を誇ります。

こうした美点にもかかわらず、近年インターネット上では「CB750 不人気」といったキーワードが目立つようになってきました。

一見すると矛盾するこの評価。果たして「不人気」とは本当に事実なのでしょうか?それとも、現代の価値観やトレンドとのズレがそうしたイメージを生んでいるに過ぎないのでしょうか?

本記事では、CB750が“不人気”と語られる背景にあるユーザーの声や市場の動向を多角的に検証するとともに、このバイクが築いてきた歴史や設計思想、そして今なお支持され続ける理由についても詳しく掘り下げていきます。

かつての名車としての評価が、なぜ現在の一部ユーザーに誤解されているのか。そして、それでもCB750が多くのファンから愛され続ける本当の理由とは何なのか、その全貌に迫ります。

この記事のポイント

  • なぜCB750が「不人気」と言われるようになったのかの背景
  • 現代のバイク市場やユーザーの価値観とのギャップ
  • CB750の設計思想や性能に対する正当な評価
  • 中古市場での価格推移と再評価の動き
  • CB750が持つクラシックバイクとしての魅力と意義

CB750の概要とその歴史

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CB750とは何か?

ホンダCB750は、1969年に登場した伝説的な大型バイクであり、当時としては画期的な技術とデザインを融合させたモデルでした。

世界初の量産型DOHC直列4気筒エンジンを搭載し、驚異的な加速力とスムーズな走行性能を実現。

これにより、それまで主に欧州車に頼っていた大型バイク市場に新風を吹き込みました。

また、750ccという排気量クラスに新たなスタンダードを築いたことで、「ナナハン」という言葉がバイク文化に定着し、多くのライダーたちの憧れの対象となりました。

その存在は単なる乗り物にとどまらず、時代の象徴とも言える一台だったのです。

CB750の歴史的背景

1960年代、欧州の大型バイクが市場を支配していた時代、ホンダはその流れに一石を投じる存在としてCB750を開発・投入しました。

日本メーカーとしては前例のない挑戦でしたが、ホンダは高度なエンジニアリング技術と量産体制を武器に、CB750を世界中に展開。

性能の高さ、優れた信頼性、そして手頃な価格帯という三拍子が揃ったこのモデルは、瞬く間に世界の注目を集めました。

特にアメリカ市場では絶大な人気を誇り、多くのライダーがその走行性能と耐久性に魅了されました。

この成功は、後のスーパーバイク市場の発展に大きな影響を与え、CB750はその象徴として「スーパーバイクの先駆け」と評されるに至りました。

ホンダはこのモデルを通じて、日本の技術力とブランド力を世界に知らしめることとなったのです。

CB750のモデルラインナップ

CB750は長年にわたり複数のモデルが登場しており、それぞれのモデルは時代ごとのライダーのニーズや市場の流行を反映した個性的な特徴を持っています。

1969年に登場した初代モデル「CB750K」は、当時の常識を覆す性能を備えたことで大きな注目を集め、世界中のバイクファンに衝撃を与えました。

その後、スポーティな志向を持つ「CB750F」、そして1990年代に入り扱いやすさと安定性を追求した「RC42」へと進化し、幅広い層のユーザーから支持を得てきました。

このように、CB750は各時代のライフスタイルやテクノロジーの進化とともに姿を変えながらも、本質的な「信頼性」と「走る楽しさ」を貫いてきたシリーズです。

これらのモデルを通して、CB750がどのようにホンダの哲学とともに歩んできたのかを振り返ることができます。

代表的モデル比較表:

モデル製造年エンジン形式最高出力特徴
CB750K1969–1978空冷直列4気筒67ps/8000rpm元祖ナナハン
CB750F1979–1982空冷直列4気筒77ps/9000rpmスポーティ仕様
CB750 RC421992–2008空冷直列4気筒75ps/8500rpm教習車にも採用された安定モデル

CB750が不人気と呼ばれる理由

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デザインの評価とユーザーの反応

RC42型CB750は1990年代に設計されたモデルであり、その外観やスタイルには当時のホンダらしい実直で控えめな美学が反映されています。

しかし、現代のバイクと比べるとシャープなラインや攻撃的なフォルムが少なく、全体的に落ち着いた印象を与えるため、一部のユーザーには「地味」と捉えられることがあります。

特に最新トレンドを重視する若い世代からは、「クラシックすぎる」「古くさく感じる」といった声が挙がることも少なくありません。

ただし、そのクラシックなデザインは、バイク本来の質実剛健さを大切にするライダーからは高く評価されることも多く、シンプルで飽きのこないスタイルは、長く愛車として付き合う上での大きな魅力にもなっています。

耐久性と性能面の批評

CB750は高い耐久性と信頼性を誇るバイクとして評価されていますが、その堅実さが逆に「刺激に乏しい」と感じるライダーも一定数存在します。

走行中の挙動は非常に安定しており、長距離のツーリングや街乗りには最適なのですが、サーキット走行や鋭い加速を重視するようなスポーツ志向のライダーにとっては、パワー感やスリリングなフィーリングに欠けると映る場合があります。

また、電子制御や最新技術を多用した現代の高性能バイクと比較すると、CB750のスペックは控えめで、スペック競争の観点では劣っていると見る向きもあります。

こうした背景から、より尖った性能やアグレッシブな走行体験を求める層には、やや物足りなさを感じさせてしまう一面もあるようです。

流行のバイクとの比較

現代のバイクは、高性能な電子制御システムやトラクションコントロール、ABS、ライディングモードの切り替え機能など、さまざまな先進技術を標準装備する傾向にあり、さらに車体の軽量化や空力性能の向上といった面でも大きな進化を遂げています。

そのため、CB750のような伝統的でオーソドックスな設計のバイクは、スペック上の比較ではどうしても不利に見られがちです。

とくに若年層を中心に、最新技術への関心や好奇心が高いため、CB750のクラシックな魅力に触れる機会が限られてしまうという側面もあります。

しかしながら、そうした流行とは一線を画し、あえて昔ながらの機械的な味わいを求めるライダーや、バイクに対してノスタルジックな愛着を持つ層からは、CB750は今もなお根強い支持を集めています。

彼らにとっては、電子制御に頼らずにライダーの技術でバイクを操るというスタイルが醍醐味であり、CB750の持つアナログ的な魅力こそが、本当の意味での「乗る楽しさ」を体現しているのです。

CB750の魅力と価値

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RC42の性能と特徴

RC42は扱いやすい空冷エンジン、スムーズなトルク特性、そして優れたバランス性能を誇るモデルであり、その実力は多くのライダーによって長年にわたり支持されてきました。

エンジンは低回転域でも力強く、発進時のトルク感や中速域での安定した走行性能は、初心者からベテランまで安心して扱える要素となっています。

また、車体の重量バランスも非常に良好で、市街地走行やワインディングロードでも自然なハンドリングが可能です。

さらに、RC42は日本国内の自動二輪教習車としても長く使用されており、実用性や耐久性、安全性において高い評価を受けてきました。

これは単にスペックだけでなく、実際の使用環境下での信頼性の証でもあり、多くのバイクファンにとって、RC42が「安心して乗れる」バイクであることを象徴しています。

愛車としてのCB750

長く所有して手を入れる楽しみがあるのもCB750の大きな魅力の一つです。

時間をかけて少しずつパーツを交換したり、細部をカスタマイズしていくことで、所有者の個性を色濃く反映させた唯一無二のバイクに仕上げることができます。

外観だけでなく、走行フィーリングの調整やメカニカルな改良も楽しめるため、整備やカスタムに興味のあるライダーにとっては長い付き合いを前提とした“育てる楽しさ”を味わえる存在です。

また、CB750は市場に出回っているカスタムパーツの種類も非常に多く、シートやマフラー、ハンドルなどを自分好みに交換しやすい環境が整っており、ビギナーからベテランまで幅広く対応可能なモデルと言えるでしょう。

中古市場での価格動向

以下はRC42型CB750の中古価格の推移を示した表です。

この表は、RC42の再評価が進んでいることを視覚的に示す重要な資料でもあります。

年式や走行距離によって個体差はあるものの、全体としては状態の良い車体の希少価値が高まり、価格がじわじわと上昇している傾向にあります。

特に近年は、ネオクラシック人気や熟練ライダーによる再注目により、安定した市場価値を維持しています。

加えて、今後ますます状態の良い個体が減少していくと見られているため、価格の上昇は継続すると考えられます。

こうした価格動向は、CB750が単なる中古バイクではなく、資産価値を持った一台として捉えられ始めている証とも言えるでしょう。

RC42型CB750の中古価格の推移(概算)

平均価格(円)
2010年380,000
2012年400,000
2014年430,000
2016年470,000
2018年520,000
2020年580,000
2022年640,000
2024年700,000

※ 上記の価格は参考値であり、実際の販売価格は車体の状態・走行距離・販売店等によって異なります。

年々価格が上昇傾向にあり、CB750に対する市場の評価が見直されてきていることが明確に現れています。

これは単なる一時的なトレンドではなく、長年にわたって築かれた信頼性や設計の完成度、さらには希少性が徐々に市場価値に反映されてきた結果です。

特にRC42モデルにおいては、中古車両であっても良好なコンディションを維持している車体はコレクターズアイテムとして注目されることが増えており、購入希望者も年々増加傾向にあります。

このような動きは、CB750が今後さらに注目され、価値あるクラシックモデルとしての地位を確立していく可能性を強く示唆しています。

CB750の仕様と開発背景

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空冷エンジンとそのメリット

CB750の空冷エンジンは、構造がシンプルでメンテナンスが容易という利点があります。

冷却機構が複雑な液冷エンジンと比べてパーツ数が少ないため、整備がしやすく、トラブル発生時の対応も比較的簡単に行えます。

これにより、ライダー自身が日常的な点検や軽整備を行うことが可能となり、愛着を持って長く付き合うことができる点が大きな魅力です。

また、空冷特有の放熱フィンがエンジンの造形美を引き立てており、クラシックなルックスを好むライダーから高く評価されています。

さらに、液冷よりもフィーリングがダイレクトで、エンジンの振動や鼓動感をダイレクトに感じることができるため、より「バイクに乗っている」という感覚を強く味わうことができます。

こうした点から、CB750の空冷エンジンは、性能一辺倒ではない“味わい”を重視するバイクファンにとって、非常に魅力的な存在となっているのです。

CB750FやCB750Kの比較

Kはクラシカルな外観と雰囲気を持ち、1970年代のホンダらしいレトロな魅力を色濃く残すモデルで、当時の雰囲気や造形美を重視するライダーに特に人気があります。

Fはよりスポーツ志向で、シャープなスタイリングと高回転までしっかり回るエンジン特性により、ツーリングやスポーティな走行を好むユーザーに適しています。

そしてRC42はその中間に位置する万能型で、街乗りからツーリングまでバランスよくこなせる設計が特徴であり、教習車にも選ばれるほどの信頼性と扱いやすさを備えています。

それぞれのモデルには明確な個性があり、乗り手の経験や求める走行スタイル、さらには美的感覚に応じた最適な選択肢が用意されている点が、CB750シリーズ全体の魅力をさらに高めています。

ユーザーから見たカスタムの可能性

CB750はカスタムベース車両としても高く評価されており、個性を追求するライダーにとっては理想的なプラットフォームといえます。

クラシックなデザインを活かしたカフェレーサー風カスタムや、ツーリング仕様へのアップグレード、さらにはレストア風の仕上げまで、幅広いアプローチが可能です。

特に外装変更、マフラーの交換、ハンドルの変更といった外見上のアレンジに加え、サスペンションや吸排気系のチューンなど性能面での改造も盛んに行われています。

豊富なアフターパーツが市場に出回っており、自分だけの一台を作り上げる過程そのものが、CB750を所有する大きな醍醐味の一つとなっています。

カスタムカルチャーの文脈でも、CB750はその歴史的価値とメカニカルな扱いやすさから、今なお支持され続ける存在なのです。

CB750の今後の展望

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市場での位置付けと今後の動向

生産終了から年数が経つにつれ、ネオクラシック需要の高まりとともに、RC42の価値もあらためて注目を集めるようになってきました。

特に近年では、電子制御を極力排したシンプルで機械的な操作感や、クラシカルなデザインへの関心が高まっており、CB750 RC42のような空冷エンジンを搭載したバイクが再評価される土壌が整ってきています。

また、旧車文化が広がる中で、RC42は手頃な価格帯でありながらも高い完成度を誇り、維持のしやすさや整備性の良さといった実用面でも非常に優れていることが評価のポイントとなっています。

今後ますますコレクターズアイテムとしての地位が高まる可能性があり、希少価値の上昇とともに、歴史的な名車としての認識も一層深まっていくことでしょう。

新車・中古車の購入インサイト

すでに新車は存在しませんが、中古車市場では状態の良い個体が年々減少しており、特に走行距離が少なく、外観や機関のコンディションが良好な車体は非常に希少となっています。

そのため、今後さらに価格が高騰する可能性も指摘されており、購入を検討しているライダーにとっては、タイミングを逃さず早めに手に入れることが非常に重要になってきています。

現行モデルでは味わえない空冷ならではの鼓動感や、時代を超えた普遍的なデザインの魅力も相まって、RC42型CB750は今なお価値ある一台として注目され続けているのです。

愛用者の声とコミュニティの質

SNSやオーナーズクラブでは、RC42に対する愛着の深さが強く感じられ、その温かい雰囲気と結束力の高さは特筆すべきものがあります。

メンバー同士が整備情報やツーリング記録、さらにはおすすめのパーツやショップ情報まで積極的に共有し合っており、初心者からベテランまで誰でも気軽に参加しやすい環境が整っています。

また、定期的に開催されるオフ会やミーティングでは、実車を囲んでの意見交換やノウハウの共有が行われ、RC42に対する情熱やこだわりを語り合う場として機能しています。

こうしたコミュニティの活発さは、CB750というバイクが単なる移動手段ではなく、「共に時間を過ごす相棒」として深く愛されていることの証でもあります。

結論:CB750の真実

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CB750の評価と見直しの必要性

不人気とされる面には一理あるものの、それは一部の限られた視点に過ぎず、特定の評価基準に基づいた見方であるとも言えます。

例えば、最新技術や派手な外観を重視する現代の若年層の視点から見れば、CB750のクラシックな設計や控えめなデザインは物足りなく映るかもしれません。

しかし、バイク本来の魅力や長期的な信頼性、整備性の良さ、そして走ることそのものの楽しさに重きを置くライダーにとっては、CB750は非常に完成度の高い一台として映ります。

現代の多様な価値観の中でバイクを再評価する視点を取り入れれば、CB750の本当の価値や信頼性、そして設計の奥深さが改めて浮かび上がってくるはずです。

不人気の裏にある本当の魅力

派手さや先進性よりも、堅実さと安心感を求めるライダーにとって、CB750はまさに理想的な一台といえるでしょう。

最新技術に頼らずとも、バイクとしての基本性能がしっかりと作り込まれており、乗り手に対して常に安定したフィーリングを提供してくれます。

特に、長年にわたり愛されてきた設計思想や空冷エンジンならではの素直なフィーリングは、現代の電子制御中心のモデルにはない魅力を感じさせてくれます。

また、シンプルな構造で手をかけやすいこともあり、所有する中でバイクへの理解を深めたり、愛着が強まるケースも多く見られます。

所有して初めて気づく「付き合う楽しさ」や「時間をかけて育てる満足感」といった側面も、CB750の大きな魅力の一つとして多くの愛用者に語られています。

次世代ライダーにとってのCB750の意義

次世代に向けて「バイク本来の楽しさ」を伝えるモデルとして、CB750は極めて重要な存在であり、単なる旧車としてではなく、ライディングの原点に立ち返るための指標ともなり得ます。

電子制御が進化し、多機能化が進む現代のバイクにおいて、CB750が持つシンプルで直感的な操作性や、乗り手との一体感を重視した設計思想は、バイクという乗り物の本質を再認識させてくれます。

また、レトロなデザインと高い実用性を兼ね備えた稀有な存在であり、見た目の美しさと日常使いの快適さを両立できることも特筆すべき魅力です。

これからの時代、過剰な装備に頼らず、自らの技術で操るバイク体験を若いライダーが求めるようになる中で、CB750はその思想を体現するモデルとして、ますます価値ある存在になっていくことでしょう。

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